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■OE式地下貯水システムとは… |
OE式地下貯水システムは、谷地形を利用したり、地面を掘削したりしてできた凹地に積層構造体や砕石などの滞水材を充填して滞水層を形成し、その間隙に水を貯留するものです。凹地の底面や側面が不透水性でない場合は、遮水層を設けて水が貯まるようにします。また、滞水層の上部は、土砂等が混入しないように遮水層形成後覆土します。水路その他で集めた水は、有孔管等で滞水層に引き込み貯留します。これで人工滞水層ができあがり、この水を必要に応じて利用します。
また、OE式地下貯水システムは、雨水だけでなく、あらゆる水の貯留・利用に用いることができます。使用目的によっては、排水処理水や淡水化した海水等の利用も考えることが可能です。 |
■基本構造 |
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●貯留部 |
貯留部は、遮水材と滞水材で構成されます。遮水部はゴムシートを基本としますが、求められる遮水性があり、水質に悪影響を及ぼさないものであれば、その地域で入手しやすいものを利用できます。滞水材は単粒度砕石を基本にしますが、それ以外にも例えば、現地発生の礫、透水管、有孔管、クロスウェーブ(推奨滞水材)、コンクリート塊など設置場所の条件により様々な材料が利用可能です。 |
●集水部 |
雨水等は、水路・管路を用いた自然流下方式を基本として集水されます。集められた水は、沈砂槽等を経て、流入管等により人工滞水層内に送り込まれます。
設置施設●流入管、流入桝、各種フィルター槽、スクリーン、オーバーフロー管など。 |
●利水部 |
利水は、ポンプにより汲上げて利用したり一定量ずつ放流される装置を用いるなど、用途に応じた方法により行います。また、維持管理のために貯留部の水を抜くことができるように排水施設を設けます。
設置施設●流出管、流出桝、オーバーフロー管、ポンプ、水位計、オリフィス(流出抑制機能を持たせる場合)など。 |
■OE式地下貯水システムの貯留部および滞水材変更例 |
●貯留部 |
遮水材と滞水材で構成されている構造例
遮水材はゴムシートが基本。おもな用途は利水、防災備蓄用水など。 |
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貯留槽上部が透水シートの構造例
その他5面は遮水シート。おもな用途は利水、調整池など。 |
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透水材と滞水材で構成された構造例
おもな用途は調整池、流出抑制など。 |
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●滞水材 |
滞水材に礫や砕石を使用
空隙率が中程度。残土処理等の土工事が大幅に軽減。効率の良い施工ができます。 |
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積層構造体
(プラスチック製・ステンレススチール製) 高空隙率で効率的・経済的な施工や、工期が大幅に削減でき、耐久性にも優れ水質を汚しません。 |
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■用途施工例 |
貯水型 中水利用タイプ・・・利水 |
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●貯水容量/500m3●目的/中水利用。散水、防火用水など。●竣工年月/2000年3月●工期/約3ヶ月●概要/アメリカンフットボールグラウンドを造成地盤と人工地盤を合わせて新築されるに伴い地下貯水槽を造成地盤化に設置した。山の斜面とグラウンドに降った雨を、流入桝、沈殿槽、濾過槽を設け、初期降雨カットやゴミ・塵埃を極力除去し貯水槽にきれいな雨水を貯留しグラウンド散水に利用また非常時の防火用水として備蓄している。 |
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流出抑制型 流出抑制タイプ・・・調整池 |
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●規模/550m3●目的/防災調整池●竣工年月/1999年4月●工期/約3週間●概要/既存の素掘調整池を地下式に改変し、その上部を駐車場としている。滞水材にはプラスチック製の滞水材:クロスウェーブ(積水化学工業製)を使用しているため、貯水槽自体の形成にかかる工期は1週間足らず。 |
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貯水型 防火用水タイプ・・・防火水槽 |
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●規模/20m3(防火用水)●目的/防火水槽●竣工年月/2001年11月●工期/約3週間●概要/敷地内駐車場地下を利用して地下貯水槽を設置している。雨水は近くの建物の屋根のみから集水し、樋からの雨水を貯水槽に導流している。マンホール近くに消火ホースを設置し、非常時に備えている。 |
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貯水型 環境用水タイプ・・・環境用水 |
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●規模/約7,100m3●目的/環境用水。せせらぎの流量確保とビオトープ形成のための用水。●竣工年月/1997年3月●工期/約4ヶ月●概要/ニュータウンの造成に伴う約2.0ha公園の地下に環境用水を貯留している。雨水は公園敷地内に降ったものをU字溝を介して集水している。全体の造成工事に併せて施工したため、掘削や残土処理などの土工事が大幅に軽減され効率のよい工事となっている。 |
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